算術演算の基本は、二つの変数を使う加減乗除、つまり4種類の算法です。二つの変数>A,Bを使う算法を記述するとき、2変数の間に演算子を挟む方法、例えば「A+B」とします。関数形式、例えばAdd(A,B)は、少し複雑な条件を考えるときの書き方です。どちらにしても、計算結果を判断するとき、もう一つ別の変数Cを考えて、C=…のような代入文を使います。二値論理学では、数式に置き換えて代数学的に変数を使う算法は、次のような特徴があります。(1)変数の取り得る値が二種類「真または偽」しかないこと;(2)演算の結果も二種類に限ること;(3)変数の書き順の前後関係を考える必要があること、です。この組み合わせは16通りですので、演算の種類は16通りあります。算術演算に使う演算子は四種類ですが、実はマイナス記号「−」は二つの使い方があります(2.3.1項参照)。論理演算の演算子は、連言(And)、選言(Or)、内含(Imp)の三つと、否定(Not)とを組み合わせれば16通りの演算を処理できます。ただし、内含は、割り算と同じように、変数の書き順を逆に考えることをしません。演算の種類を表2.3に示します。この表で使っている演算子の記号は、論理学の方の「∧、∨、⇒」を使いました。論理演算を視覚的に理解するときは、図2.1 ベン図(Venn)が便利です。
表2.3 変数を二つ使う論理演算則の表
番 号 (*1) |
記 号 |
P,Q の組み合わせ |
定 義 |
文章での表し方 |
備考 (*2) |
P |
1 |
1 |
1 |
0 |
Q |
1 |
0 |
1 |
0 |
15 |
|
1 |
1 |
1 |
1 |
PとQのトートロジー |
(P,Q)→(P,Q) |
対称 |
14 |
P∨Q |
1 |
1 |
1 |
0 |
PとQの選言、論理和、OR |
PまたはQである |
対称 |
13 |
Q⇒P |
1 |
1 |
0 |
1 |
PによるQの逆向きの内含 |
QならばPである |
|
12 |
|
1 |
1 |
0 |
0 |
Pである |
[常にPである] |
|
11 |
P⇒Q |
1 |
0 |
1 |
1 |
PによるQの内含 |
PならばQである |
|
10 |
|
1 |
0 |
1 |
0 |
Qである |
[常にQである] |
|
9 |
P≡Q |
1 |
0 |
0 |
1 |
可逆的な内含、対等、EQV |
|
対称 |
8 |
P∧Q |
1 |
0 |
0 |
0 |
PとQの連言、論理積、AND |
|
対称 |
7 |
P|Q |
0 |
1 |
1 |
1 |
PとQの非両立 |
|
対称 |
6 |
P≠Q |
0 |
1 |
1 |
0 |
PとQの排反、XOR |
|
対称 |
5 |
|
0 |
1 |
0 |
1 |
Qの否定である |
|
|
4 |
|
0 |
1 |
0 |
0 |
(P⇒Q)の否定 |
|
|
3 |
|
0 |
0 |
1 |
1 |
Pの否定である |
|
|
2 |
|
0 |
0 |
1 |
0 |
(P⊂Q)の否定 |
|
|
1 |
|
0 |
0 |
0 |
1 |
(P∨Q)の否定 |
PでもQでもない |
対称 |
0 |
|
0 |
0 |
0 |
0 |
PとQの矛盾 |
|
対称 |
(*1):この番号数字は、「P,Q の組み合わせ」の欄の4つの二進数並びを十進数にしたものです。
(*2):対称とは、交換法則が成り立つ演算の意味で使いました。 |
図2.1 ベン図
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」 |