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2. 論理演算

2.4 変数を二つ使う演算


2.4.1 二値論理学での演算は16種類

 算術演算の基本は、二つの変数を使う加減乗除、つまり4種類の算法です。二つの変数>A,Bを使う算法を記述するとき、2変数の間に演算子を挟む方法、例えば「A+B」とします。関数形式、例えばAdd(A,B)は、少し複雑な条件を考えるときの書き方です。どちらにしても、計算結果を判断するとき、もう一つ別の変数Cを考えて、C=…のような代入文を使います。二値論理学では、数式に置き換えて代数学的に変数を使う算法は、次のような特徴があります。(1)変数の取り得る値が二種類「真または偽」しかないこと;(2)演算の結果も二種類に限ること;(3)変数の書き順の前後関係を考える必要があること、です。この組み合わせは16通りですので、演算の種類は16通りあります。算術演算に使う演算子は四種類ですが、実はマイナス記号「−」は二つの使い方があります(2.3.1項参照)。論理演算の演算子は、連言(And)、選言(Or)、内含(Imp)の三つと、否定(Not)とを組み合わせれば16通りの演算を処理できます。ただし、内含は、割り算と同じように、変数の書き順を逆に考えることをしません。演算の種類を表2.3に示します。この表で使っている演算子の記号は、論理学の方の「∧、∨、⇒」を使いました。論理演算を視覚的に理解するときは、図2.1 ベン図(Venn)が便利です。
 
表2.3 変数を二つ使う論理演算則の表



(*1)

記 号

P,Q の組み合わせ

定    義

文章での表し方

備考
(*2)

15

 

PとQのトートロジー

(P,Q)→(P,Q)

対称

14

P∨Q

PとQの選言、論理和、OR

PまたはQである

対称

13

Q⇒P

PによるQの逆向きの内含

QならばPである

 

12

 

Pである

[常にPである]

 

11

P⇒Q

PによるQの内含

PならばQである

 

10

 

Qである

[常にQである]

 

9

P≡Q

可逆的な内含、対等、EQV

 

対称

8

P∧Q

PとQの連言、論理積、AND

 

対称

7

P|Q

PとQの非両立

 

対称

6

P≠Q

PとQの排反、XOR

 

対称

5

 

Qの否定である

 

 

4

 

(P⇒Q)の否定

 

 

3

 

Pの否定である

 

 

2

 

(P⊂Q)の否定

 

 

1

 

(P∨Q)の否定

PでもQでもない

対称

0

 

PとQの矛盾

 

対称

(*1):この番号数字は、「P,Q の組み合わせ」の欄の4つの二進数並びを十進数にしたものです。
(*2):対称とは、交換法則が成り立つ演算の意味で使いました。

図2.1 ベン図
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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