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1. 用語の定義と解説

1.5 論理式に使う記号


1.5.2 省略法

 表音文字を使う英米語では、文字数の多い単語を文中で何度も引用するとき、省略(abbreviation)する書き方が多く用いられます。例えば、The United States of Americaは、昔はU.S.Aとし、省略した事を意味する点(.)を挿入しましたが、それも省くUSAが認められるようになりました。読むときは元のスペルで発音するのが基本的な態度ですが、「ユーエスエー」と言って通用するようになると正式な名詞扱いになり、辞書にも載るようになります。専門用語の省略語には大文字小文字を使い分けることがありますので、辞書に載らない省略語にするときは、約束を始めに書いておくのを正式な作文技術とします。英語のellipsisは省略記法と言い、ピリオドなどを使った省略の書き方を言います。「・・・」「***」などと書くのがそうです。科学技術を研究する場合、英米語では、図形記号を別に工夫しないと文書に記録する方法に不便です。これは省略法の工夫と似ています。既に単語があったものに記号を工夫して読みを当てます。数学、論理学、集合論の記号に見られます。一方、漢字はもともと一字で意味を表しますし、扁(へん)や旁(つくり)を図形の構成要素とした造語法です。この造語法を真似て、日本で作られた漢字を和製漢字または国字と言います。例えば、吋・呎は国字ですが、英語のインチ・フィートを表し、その読みで使います。漢字の画数が多いものを単純化した表記にしたものを略字と言いますが、英語の省略法とは違います。中国本土では、読み(音)を同じにした記号化で作られた漢字があって、簡体字と言います。元の字形を繁体字と言います。日本で開発された仮名(平仮名、片仮名)は漢字の意味の方を捨象した略字と言えるでしょう。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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