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1. 用語の定義と解説

1.1 一般的な論理学の用語


1.1.0 学問と技術とを区別して理解する

 学問とは、平たく言えば、勉強(study)することです。その基本的な方法は、過去に得られた知識を理解しておくことです。そのためには、まず言葉を覚えます。特に海外の学問を理解するには、そこで使われている言語を覚え、そして専門用語の意味と定義とを自分の言語で理解することから始めます。双方の言語環境で同じ物があるときは、単純に言葉の対応辞書(dictionary)を作ることができます。例えば「犬:dog」とすれば済みます。しかし、外国語にあって日本語に無い言葉の場合には、言葉自体を作成することが必要になります。それがどういう物か事かの意味を説明する辞書が必要です。こちらは、英語ではglossaryが当たります。勉強は受動的な態度です。外から見れば、何もしません。

 一方、技術は、視点が未来にあります。これから何かを創造する行動に移すため、意思決定が必要です。無難な態度は、過去にあった例を踏襲します。これを保守的と言いますが、悪い意味だけではありません。前例のない、また経験のない事柄に挑戦するときは、研究(research)の態度を取ります。進歩的であると尊敬されることもあるのですが、失敗の危険も考えておきます。失敗の場合を想定して、事前に、安全(safety)とそのための救済(security)の対策も考えます。この全体が危機管理(risk management)であって、大人の態度です。社会組織の中で、前例の無いことに取り組みたい事態が起こったとき、賛成または反対の考え方を、相手に納得が行くように言葉で説明する説得の技術が必要です。この技術を学問的に支えるときに、論理学の知識が役に立つでしょう。

 論理学の用語の大部分は、通常の文章に出てくることのない学術用語です。この章の用語の並べ方は、主題ごとにグループ化しました。印刷物にまとめるときは、全体を章・節・項に分けた編集をし、項目の索引は本文のページ番号を使います。しかし、インターネットを介した電子出版の時代には向きません。本文をパソコンの狭いモニタに表示して閲覧します。全体を通した索引は、目次構成に使った章・節・項を示す三つの整数を小数点で繋ぐ番号を使うことにしました。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

 
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