章、節、項、必要に応じて細分するときの番号は、このレポートそのものを例とする様に、アラビア数字を使います(表1参照)。小項目(item)は箇条書きにする時に用い括弧付きのアラビア数字、括弧付きの英小文字の順とします。例;
(1)
(2)
(a)
(b)
(c)
. . .
(3)
. . .
ISO 2145 では、章、節、項の番号の参照(citation)の仕方と、読み方(spoken form) まで決めてあります。
Examples of citation: | Examples of spoken form: | |
. . . . in clause 4 . . . . . . . see 9.2 . . . . . . . 3rd paragraph in 1.1.2 . . . . |
2 2.1.2 2.11 2.27 |
"two" "two one one" "two eleven" "two twenty-seven" |
表紙を除いて、レポートはアラビア数字の続き番号でページをつけます。特に、表題のページを第一ページとし、これを見開きの右ページになるようにします。用紙の片面だけを使うときは、空白のページを省きます。用紙の両面を使うことが考えられているとき、奇数ページが、必ず見開きの右に来るようにし、空白のページも番号を割り当てます。コピーで用紙一枚に一ページとなるときは、空白ページを抜いたことを前のページに書いておきます。
特に指定がなければ、字数の計算が容易にできる様にするのが良いでしょう。1章で述べたA4 の用紙の有効領域(170 x 250mm) は、日本語の字詰めは大体次の様な値になります。
ページの頭を除き、新しい章や項は二行の空白を開けて始めます。日本語文章の頭は一文字分下げて書き出します。文章は、適当な長さの段落(paragraph) 毎に一行空白を入れます。英文の場合、パラグラフ毎に一行あけますが、書き出しを左に詰めて、タブによるシフトをしません。英文ではスペーシングに1, 1.5, 2, 3 などを適当に組合せた空白行を使って、レポート全体のレイアウトの統一を図ることがあります。なお、写真による縮小印刷を行なうとき、一ページを二つの欄に分けて文字を詰めることがあります。この目的は一ページになるべく多くの文章をつめ、ページ数の節約を図るためです。
レポートは必ず序論をつけ、レポートが書かれた目的、対象、関連事項、経過などを簡潔にのべます。序論は、レポートの他の章構成とは独立したものとして扱いますから、章の番号を付けないか、付けるとすれば、番号の0(zero)を当てます。序論の内容は、抄録の内容と重複してはなりません。本来、レポート本体で書くべき理論や実験の説明や結果なども入れません。また、後で説明する結論部や、提案部を序論に書くべきではありません。まえがきを付けないレポートは、まえがきで書いておきたいことを含ませても良いでしょう。
(備考)まえがき(Preface) と序論(Introduction)との使い分けを決めました。序論は、これを読むことで、レポートの中身を理解するのに役立つ内容を含みますが、まえがきはレポートの管理に関連することが書かれます。
レポートの章の並べ方は、例えば、理論(theory)、方法(method)、結果(results)、考察・検討(discussion)などとし、必要に応じて節、項に細分しますが、細かくなり過ぎないようにします。説明は必要最小限で、かつ読者が充分に理解できるような内容が望まれます。数学の証明の全過程や、細かな実験データなどが必要であれば、付録(annex)の方でまとめます。考察を独立の章とするとレポート全体の構成上苦しくなる時は、結果の章に小節をつけて検討を含ませるのも良いでしょう。
独立の章番号を振った考察(discussion)部をつけたり、結果の章の中で考察の小節を設けることもできます。この場合は、レポートが扱った新しい知見、個々の結果についてのコメントや理由付けなどを述べ、あとにつづく結論や提案への伏線を示しておきます。
結論は、レポート主文のまとめです。しかし、結論及びこれ以降の項目は、レポート主文の構成要素と考えませんから、必ずしも章番号を割り付けなくてもかまいません。また、主文の小項目番号を延長した番号を振ってはなりません。結論は、判りやすく、また整理した文章とします。重要な数値を再録しても良いですが、細部にわたる吟味は主文の方に入れます。
この項目は、結論を直接受けて、このレポートに引き続いて行なうべき調査や研究について感想や提案をまとめます。この項目は必ずしも必要とするものではありませんし場合によっては、結論の節に含めることができます。この時は、文章を新しい段落で始めるようにします。
レポートをまとめるに当たっての経済的な援助(例えば科学研究費など)や、レポート作成の実質的な協力(例えば、清書、タイプ、製図など)をかきますが、精神的な激励や助言などは含めないのが普通です。もし特別に感謝したい協力者を挙げたいとき、共著者として名前を書くことを考えるべきです。
もう一つの解決方法は、付録の部分に協力者の名前を著者名として入れることです。この場合の付録は、別の独立したレポートとしないが、著者の貢献を評価したいときです。この場合、表紙にその旨の副題をつけて、その著者名をかきます。例えば、コンピュータプログラムは著作物の扱いを受けますから、プログラムの作成者に対して、謝辞ですますのでなく、相応の敬意を払う一つの方法です。参照したり、引用、再録した図表などは、著作権法などに基づいた手続きを踏まえた上で謝辞をつけます。
レポートで参照した事項の出典は、レポート本体部分の最後にリストをつけます。そして、それを文章中の適当な個所で引用するようにします。一般的な参考書などは序論で言及するのがよく、そのリストも含めておきます。しかし、レポートの中で引用しないまでも、重要と考えられる文献類は、例えば付録として文献目録(bibliography)としてまとめるのがよいでしょう。文献目録は、眼に付いた文献を何でも列挙するのでなく、目録の編集思想が判るようにします。
引用文献リストの表題に、例えば、Comprehensive, Selective, Twentieth century Bibliography などの形容詞を付けておくのは読者に対して親切です。
引用文献の書き順は、欧文については、ISO 690-1987, 日本語ではその日本語基準である SIST 02-1984 参照文献の書き方:に拠ります。文献の書き方の原則は、 著者・表題・書誌事項、の順に並べます。欧文の場合の二三の例を下に示します。
単独の著者による書籍: (Book) |
PETERSEN, Sverre. Introduction to Meterology. New York, McGraw Hill, 1941:pp. 202-210. |
複数の著者の叢書中の論文: (Paper in a collection) |
Howland, D. A Model for hospital system Planning. In: KREWERAS, G. and MORLAT,G., eds. Actes de la 3econference internationale de recherche operationelle, Oslo 1963. Paris, Dunod,1964: pp.203-212 |
雑誌の中の記事等: (Article in periodical) |
BACHMANN, Wolfgang. Verallgemeinerung und Anwendung der Rayleighschen Theorie der Schallstreuung (Generalization and application of Rayleigh theory of scattering of sound). Acustica 28(4) 1973: pp.223-228. |
レポート: (Report) |
LLOYD, John Charles. Application of electronic tonning to shipbuilding, Vol 1: Anticorrosion, ELTON-TR-54. Birkenfield, U.K., Electronic Tonning Laboratory, 1974. |
雑誌名や表題は、同じような名前が多いのと、名称変更も頻繁にあるので、出来るだけ省略しないのが良いのですが、省略には一定のルールがありますので、勝手な書き方にならないようにします。これは、ISO 4 及び日本では、SIST 05 「雑誌名の略記」があります。同じように、著者の所属名の書き方にも約束があります。(参考)SIST 06 「機関名の表記」
書物の一部、ページ数の多いレポートを部分的に引用するときは、該当部分のページを記入します。この際、ラテン語の記号、例えば、 op.cit., loc.cit., ibid, idem などは使いません。
文献リストの並べ方は二通りあります。どちらを選んでも構いませんが、文献引用の方法が異なります。
本文中で文献を引用するとき、その情報が本文と同じページにあるのが親切です。名前・日付つき引用はこの目的に適しています。脚注を使って引用文献の情報を書いておくのは、読者に対して親切です。これは特にマイクロフイルムにした文献をリーダーで読むとき効果的です。このときでも、本文の最後に完全な文献リストを付けなければなりません。
参考文献のリストを番号で参照するとき、脚注にも文献を書くならば、後に付ける参考文献リストと同じ番号とします。脚注に書く文献は、スペースの節約のため、大幅に省略をしてもかまいません。
本文中で文献を引用するときの方法は次に示す二つの方法の何れかとします。
. . . has been noted at altitude as low as 2500m[MacFarland,1974,p.650]. |
. . . MacFarland(1974,p.650) has noted this at altitude as low as 2500m. |
. . . information from these sources[Farnfield,1974a)] led to a proposal for the adoption of new terms[Farnfield,1974b)]. |
. . . has been noted at altitude as low as 2500m[2]. |
. . . has been noted at altitude as low as 2500m[Ref.2]. |
. . . MacFarland[2] has noted this at altitude as low as 2500m. |