従来の銀塩写真の撮影とその焼付けに使う材料は、微細な感光粒子をフィルムや紙に塗り込んだ製品です。カメラのレンズ性能とも関係しますが、微細であっても、感光粒子の寸法は、仕上がった写真の精細度を左右します。焼き付けたモノクロ写真でその程度を言うとき、ドットの集合ではなく、1
mm幅に何本の細線が区別できるかを言います。眼で見て十分精細に見える画質は、約12本/ミリです。これは、300 DPI (dot
per inch)に相当します。この尺度はデジタル的です。画像の白黒の濃淡境界をはっきり区別させる意義で使います。一方、絵画を撮影して焼き付けるときは、濃淡(コントラスト)に滑らかな変化を持たせます。こちらはアナログ的な性質であって、感光した粒子分布の粗密で実現させます、細線を区別する尺度とは別で、グレースケール(gray scale)と言います。写真製版で文字の印刷をするときは、コントラストが強くでるフィルムと印画紙を使います。同時に写真を添えたいとなると、微妙な濃淡差が再現できませんので、専門用語で言う網掛けをして、ドット集合の写真用の版をはめ込みます。ドット寸法の大小違いで、濃淡差と明暗の変化に対応させます。 |