3.4 間接的な継手

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図9 間接添接材はリベット数を片方50%増し
 部材の連結で最も直接的なつなぎ方は、板同士の重ね継手です。添接板を使用する突き合わせの継手では、力の流れは重ね継手を二回経由しています。仮に部材板と添接板のひずみを無視し、リベットのせん断変形だけを考えると引張継手においては、重ね継手に対して添接板を使う継手は二倍の弾性変形を生じます。したがって、部材の添接箇所において、継手が同一の力学状態になければ、より間接的な継手は有効に作用しないことになります。具体的な事例として、山形鋼やみぞ形鋼をガセットプレート(gusset plate)に継ぐ場合があります。山形鋼の一方の脚は、ガセットプレートに直接リベット締めをしますが、他方の脚は、一旦添接用の山形鋼で受けてガセットプレートに力を伝達させます。この場合、添接用の山形鋼がまさに間接的な継ぎ材になります。もし計算で必要なリベット数だけをガセットプレート側と元の部材間双方に打てば、計算上は十分であっても、弾性的には不静定となります。すなわち、リベット荷重はガセットプレートに直接打ったリベットに集中します(図9)。この作用を避けるには、添接材の一方の接続を剛にします。ガセットプレート側を剛にするか、元の部材と添接板との接続を剛にするかは任意です。具体的には、剛にする側のリベット本数を50%増しにします。これはDIN1073の規定を真似たものです。


図10 間接添接の原理図
 リベットのせん断変形だけを考えるとき、重ね継手に一枚の填材(てんざい)を挟むと、添接材を使用する継手と同一の弾性的な変形を示すことになります。重ね継手は、間に板が入ると、直接の継手に比べてリベットの働長が長くなります。このような継手のことを間接添接と言いますが、これと対応する直接添接と同時に利用されることがしばしば起こります。間接添接を直接添接とを同じ場所で併用すると、間接添接側のリベット荷重が減りますので、間接添接側ではリベット本数を増して剛な結合を図る必要があります(図10)。鋼橋では、間接添接の場合、板1枚を隔てるごとにリベットの使用本数を30%増すことを規定していました。この数値に対する実験的な根拠はありませんが、DINにそのような規定があるのを準用したものです。

 この考え方をどのように応用するかは図10を参考にして下さい。リベット穴だけがあいた板aの伸びを基準とすると、重ね継手bはリベットのせん断変形分だけ伸びが大きくなります。二つの構造a, bを同時に使用するならば、bのリベット数を30%増します。先の山形鋼の間接添接では50%増しにしましたが、この場合にはリベット群の偏心を考えるためと解釈するとよいでしょう。同様の考え方で、填材を一枚はさんだ継手cとaとの併用は、リベット数を60%増しにします。またbに対してcが30%のリベット数の割り増しをします。リベット構造においては、板の接続もリベットで継ぎ足すことが行なわれます。例えばgのような接続はリベット数の30%割り増しが必要ですし、hの場合は60%の割り増しになります。鋼橋の間接添接を規定した条文は、重ね継手bを基準した表現ですので、健全な板との併用については注意を払います。

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