2.5 隣接する穴の影響

目次のページ;  前のページ; 次のページ;

図4 穴あき板の引張りによる破断線
 複数の穴があいた板の破壊では、穴の配列が引張力の作用方向に直角に並んでいるときが最も純断面積が小さくなり、言わばミシン目の所、最小の有効断面の箇所で起こります。そこで、穴の配列を千鳥にするなどのように、応力に直角な線上に穴が並ばないような配置を考えます。このとき、どれだけの距離を離すのがよいか、またその穴の影響をどのように見積るかが、ここでの問題です。簡単な実験方法は次のようにします。引張を受ける部材に力の作用方向と直角に二つの穴をあけます。三つめの穴を前の二つの穴と千鳥の位置にあけ、その位置を種々にかえて板の引張強度を試験します。一般的な性質として、三番目の穴が二穴線に近ければ、破断は三つの穴を綴って生じ、強度は最低になります。ある程度距離をあけると、三番目の穴の影響はなくなります。日本で採用された実用式は、1908年発表のCockraneの公式をさらに簡易化したもので、引張材の強度低下を有効断面積に置き換える方法です。千鳥の位置にある穴によって生じる強度の低下を板幅の減少に置き換えて計算します。この計算式は4.10節で説明します。


次のページ