技術資料7

鋼構造物設計アーカイブ

リベット構造


島田 静雄

技術資料7:電子化版

2001年9月1日


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あらまし:

 戦前(1945年頃まで)の鋼構造物は、殆どが鋼板や形鋼をリベットで閉じ合わせて組み立てられていました。1950年代から、工場で製作する部材には溶接構造が増えてきますが、現地での架設や組み立てにはリベットが使用されてきました。1960年代から現場での継手部分は、リベットに代わって高張力鋼材を使ったボルトの使用が一般的になりました。リベット打ちは、熟練が必要ですし、また騒音が激しいこともあって、最近では殆ど施工されなくなりました。同時に、熟練技術者も居なくなりました。その結果、現在ではリベット継手は殆ど見られなくなり、設計上の基準類からも削除されています。しかしながら、古い橋梁の検査や補修をするとき、リベット構造を設計するときの知識が改めて必要になります。この技術資料は、往年のリベット構造の設計方法をまとめたものです。

 リベット構造は、鋼構造物だけでなく、アルミニュウム合金を使った航空機の機体の組み立てでも使われています。日本航空のジャンボジェット機の後部隔壁が破裂した事故は、補修のときのリベット継手の施工ミスが原因でした。材料が何であっても、リベット構造の設計の考え方は同じように応用できます。この資料は昭和43年(1968年)に作成した講議テキストNo.9をワープロを使って打ち直し、HTML版に落としたものです。文章を少し手直ししましたが、図版は元のまま使いました。規格や基準は、現時点で廃止されたものもありますが、元の文をそのまま載ました。